● DONNIE CHENG ● 

 原作版レイヴンの双児の兄、ドニー・チェンさん。通称はミスター・チェン。
 お城に乗ってやってきた、民族色の強い王子さまです。

 本編ではわずか2話、存在の前振りを含めてせいぜい4〜5話分しか登場してません。そのため、どーゆー立場のヒトなのか、どーゆー性格で、何を考え行動してたのかということは、残されたわずかな手がかりをもとに、推理を重ねて考察していくほかありません。専門用語では、これを
プロファイリングといいます。

 ここでは、証拠品である 「太陽の山」 「紅と紺碧」 「原初(イヴ)のゾイド」 「交錯する運命」 「魂の拳」 をもとに、テキトーな考察をたらたら書き連ねていますので、お暇と興味のある方だけご覧ください。はい、スタート。


 ドニーさんのキーワードは 「セレブ」 です。
 彼の行動や言動、思考パターン、果ては服装センスがアレな事に至るまで、全てがこの
セレブというキーワードで解決できてしまうのです。何が解決なのかは私にもよくわかりませんが、とにかく考察を述べてみましょう。


 ドニーさんがセレブで、結構なお金持ちであることは、天空城の持ち主でチェン家の当主であること、ルイーズ大統領とかなり親密な間柄であるらしいこと (ゾイドイヴについてルイーズ大統領に話をしている)、凄腕のプロの賞金稼ぎを何度か雇っていることなどから、容易に推測できます。


 ついでにいうと、大統領とも賞金稼ぎともお付き合いがあることから、表の世界にも裏の世界にも顔がきく人物であるということがわかります。中国語でいうところの
黒白両道というヤツです。普通の15歳なら、大統領やプロの賞金稼ぎから 「ミスター」 と敬称つけて呼ばれたりしないでしょう。
 これは結構重要なポイントです。

 あの世知に長けたアーバインや、ハーマン大尉のスカウトを蹴った自由を愛する乙女のムンベイさんが、ナチュラルにお客さん案内係やホウライのオペレーターをこなしてる理由は、この辺にあると推察できます。帝国の無茶な要求には街ぐるみの徹底抗戦を貫いたルルゥが、ドニーのお願いには逆らわず、泣くほど辛い思いをしながらミュールの大恩人であるバンを試すことに手を貸したのも、同じ理由からかと。
 ・・・本当に、いったいどういうヒトなんでしょうね。


 次にドニーさんの歩き方ですが、顎を上げ、肩をそらしてつま先から接地するという、上流の支配者の歩き方、いわゆる
セレブ歩きをされています。ホエールキングから降りて地面を歩いていたら、その足跡からアーレン・ブラフォードが 「セレブ」 と判定してくれたことでしょう。
 しかし彼は、バンくんに心からおわびする時も、決して高いところから降りようとしませんでした。それどころか、
おわび相手のバンくんに、全力で走って来させているのです。


 そして後ろ手組んで胸を張り、相手の頭より高い遠いところから見下ろしつつ、微笑んで「心からおわび」をしています。常識的には許される行為ではありませんが、彼の常識は私たちの常識ではなく、セレブの常識であることを忘れてはいけません。「常に高いところから平民(平地に住む人たち、という意味です。決して差別用語ではありません)を見下ろす」 「直に地面に足をつけない」 というのは、セレブ界では世界標準の常識です。だから、ドニーさんのアレは、
セレブの行動として間違っていなかったわけなのです。

 ドニーさんの記念すべき第一声は 「見事です、バンくん。」
 いきなり誉めて遣わしています。こんな些細なところからも、彼のセレブ魂を感じ取ることができますね。


 また、アルカ峡谷の決闘の時、バンやアーバインをはじめ、ムンベイ、フィーネ、メリッサちゃんまで働かせながら、、ドニーさん自身は何一つ仕事を分担していなかったように見えますが、それは違います。
 戦闘に加わらなかったのは、単純に戦いのような荒事が苦手か、ゾイドの操縦ができなかったためとも考えられますが、いずれにしても、ゾイドを直接操縦するのではなく、ゾイドを操縦する人間を操縦するのがセレブのお仕事ですから、ドニーさんもあの時、きちんと自分のお仕事をしていたことになるのです。



 
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